「決心」
「ハァ。」
白い息は空へと広がり、そして溶けていく。
少女は、彼女が持つには大きすぎるその荷物をヨイショ、と背負いなおした。
「・・・さむい― 。」
いいかげんに凍えてしまった赤い指先を、マフラーにうずめた口元へもっていった。
「手袋、もってくればよかったな。」
履き古したローファーの音だけがコツコツと響いている。
「ハァァ。」
指先を暖めてから、背中の大きな荷物をもう一度しっかりと背負いなおし、歩みを早めた。
早朝の街はまだ、静かに息をひそめている。
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写真素材
「天の欠片」様より